さくら・さくら。願い

桜は、特別な思い入れがあります。
 
11年前の3月、第一子である長男が生まれたました。
ご存知の方も多いでしょうが、彼は、病気でした。全前脳胞症という聞いたこともない名前の病名を持って生まれた大切なわが子。
出生直後から入院をしていました。
毎日、往復2時間の通院。武庫川の土手を車を走らせて面会に通っていました。
その武庫川の両岸には桜並木がずっと続いています。
それまでは、そんなに意識して見ることがなかった桜。
しかし、通っているうちに願いに代わってきます。
桜が咲く頃は「いつか、あの子とこの場所へ散歩がしたい」
そして、日が経つに連れて、さくらは、花吹雪になって、車の走行風で舞い上がります。
「今年がダメであっても来年は、一緒にみれる。みたい。」
いつしかそう、願い続けていました。
 
結果は、その願いは実現できず、彼は退院することもなく2歳8ヶ月の短い生涯を閉じました。
 
かなえることができなかった小さな願いは、
今、心の奥に置いてあります。
そして、毎年それ以降、桜を見ると必ず、彼と重ねて思い出します。
 
桜はきれいだけど特別な「願い」なのでした。
 

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